2022年1月25日、豪州ヘイスティングス港に係留中の実証船“すいそ ふろんてぃあ”の船上でGCU(余剰ガス燃焼装置)を使用した際に発生した発光事象に関して、豪州運輸安全局(ATSB)は一連の調査を終了し、最終調査報告書が2023年2月2日に公開されました。
この最終調査報告書では、GCU本体(燃焼室)に2系統ある空気供給ファンのダンパーの一つが、ダンパーを制御する電磁弁の故障により閉じたことが要因であると記されました。この電磁弁の故障の原因は、製造時に仕様外の電磁弁が誤って取り付けられたことにあります。その結果、燃焼室への空気供給が停止し、正常燃焼を続けていた水素火炎が不安定になり、船の甲板上にあるGCUユニット専用の煙突(ベントスタック)にまでその火炎が伝播したと推察されています。また、安全対策としてダンパーの開度感知システムを装備する必要性があることにも言及しています。
前報(https://www.hystra.or.jp/news/article.html#news17)でご報告したとおり、船上操作員がこのベントスタックからの発光と煙を数秒間視認することにより、直ちにGCUを安全に手動停止し、人的、設備的及び環境的被害は発生しませんでした。
HySTRAではATSBの調査と並行して、誤動作の要因となった電磁弁を仕様書通りに交換すると共に不具合時にはGCUが即時停止するよう改修を終えております。前述のATSBの最終調査報告書を踏まえ、その後、現在まで、HySTRAは事前に実施した改修が本調査結果の安全対策を満足することを確認すると共に、改めて再発防止に向け、関係各社と改めて品質管理体制の確認をおこなって参りました。
HySTRAは今後も引き続き、更なる安全性確保に努めるとともに、水素サプライチェーンの構築の実現に向けて、真摯に取り組んで参ります。
ATSBの最終調査報告書(英文)は下記ATSBのサイトをご覧ください。
https://www.atsb.gov.au/publications/investigation_reports/2022/mair/mo-2022-001